ドイツ語圏の文学「ドイツ文学」に関する研究内容や卒業論文のテーマなどについて、このページで解説します。なお、岩手大学 人文社会科学部 人間文化課程 ヨーロッパ語圏文化プログラムには、ドイツ語の構造やドイツ語圏の文学、ドイツ語圏の文化を担当する教員が所属しています。ドイツ文学を担当している川村研究室はドイツ言語文化領域に所属しています。ドイツ語に関連する教員は、2016年2月現在で3名おり人文社会科学部1号館に研究室があります。現在の構成員については、人間文化課程の教員名簿を参照してください。



 「ドイツ文学」を専攻すると何を研究するのでしょうか。ドイツ文学の研究対象は、ドイツ語で書かれた小説や詩、戯曲、それに思想や文化に関するテキストです。そこにはオーストリアやスイス、かつてのハンガリーやチェコなどの東欧諸国といったドイツ語圏で書かれた文学も含まれます。

 例えばグリム童話を収集したグリム兄弟も、ゲッティンゲンやベルリンの大学で教鞭を執ったドイツ人でした。ゲーテやシラーといった古典的な作家だけではなく、日本でもよく知られる『デミアン』や『車輪の下』の作者ヘルマン・ヘッセ、『変身』などを描いたフランツ・カフカもドイツ語で書いた作家です。

 児童文学では、『二人のロッテ』や『エーミールと探偵たち』などのエーリッヒ・ケストナー、『モモ』や『はてしない物語』を描いたミヒャエル・エンデなどがいます。

 演劇が盛んなドイツには『三文オペラ』などを書き、現代まで影響を及ぼした演劇理論を説いたベルトルト・ブレヒト、最近ではハントケ、イェリネックといった劇作家がいます。オーストリアにもシュニッツラーや、小説家ムージルもいます。

 身体表現の世界では、ピナ・バウシュが新たな境地を切り開いたと言われています。建築やインテリアに芸術を取り入れた「バウハウス」もドイツで生まれた活動です。テキスト化された対象ならば、映画などのドイツ文化に関する内容も研究対象です。



 専攻はどのように決めてゆくのでしょうか。岩手大学人文社会科学部人間文化課程に入学した学生は、3年次に所属する専修プログラムを決定します。人文社会科学部の主副専修プログラム制では、2年次から専門の導入科目などを履修しながら、それぞれの興味関心に従って主専修と副専修のプログラムを選んでいきます。専門に学んで卒論等を書いていく分野を主専修プログラム、その次に興味関心が強い分野を副専修プログラムにすることができます。
 ドイツ文学の分野は、ヨーロッパ語圏文化P(プログラム)に含まれます。ヨーロッパ語圏文化Pには他にフランス文学・語学・文化、ドイツ語学・文化、ロシア語学・文化、そしてヨーロッパの社会、思想、芸術、等に係わる授業が登録されています。旧来の枠組みに囚われることなく、グローバル社会におけるヨーロッパについて広く学ぶために、ギリシャ語やラテン語、英語の科目も一部含まれます。
 学生はこれらの科目を広く履修しますが、卒業研究(卒論)の分野に関しては、ドイツ、フランス、ロシアの言語、文化、文学の教員から主指導教員を選ぶことになります。2年次から各分野の講義や演習に参加しながら卒論指導教員を選ぶことになります。

 ドイツ文学を専攻とすることを考えている学生は、2年次に「ドイツ文学講義」を履修してみてください。またドイツ語の能力を伸ばすために「ドイツ語構造論」や「ドイツ文化論講義」、「ドイツ語コミュニケーション(基礎・発展・実践)」、「総合ドイツ語」などの授業にも参加するとよいでしょう。「フランス文学講義」や「ロシア文学・文化論講義」、「英米文学講義」、「欧米史講義」なども文学に関連する科目と言えます。「欧米の思想と文化」などの他コースの科目も視野を広げてくれるはずです。

 学生はこの他にも、それぞれの興味や関心に応じて、他学部や他課程の授業へも参加できます。3年次になると「ドイツ文学演習」「ドイツ文化論演習」などの演習科目に参加しながら、卒業論文のテーマを定めて本格的に研究を進めます。



 ドイツ語圏の文学に関連する内容を卒論テーマに選んだ学生は、ドイツ言語文化の授業や欧米の文学に関する授業を中心に参加し、教員と相談しながら自らの興味や関心を深めていきます。ドイツ語圏の作品や作家の研究が中心となりますが、ドイツ語で書かれたテキストと他言語のテキストの比較や、ドイツ語のテキストが異文化と接触する場面で生ずる現象について考えることもできます。

 グリム童話を例に考えてみると、明治時代に初めてグリム童話が日本語へ翻訳された際に生じた改作の内容について研究することもできます。地域的なテーマに関心があれば、『遠野物語』とグリム童話の類似性を指摘することもできるでしょう。さらにドイツ語圏の文学に描かれた経済思想に着目したり、日本のポップカルチャー(マンガやアニメなど)がドイツ語に訳される際に生ずる現象を考察するなど、研究の可能性は広がっています。

 ドイツ語圏のテキストを中心とした研究となりますが、テーマが「ドイツ語圏の文学」を取り巻くものに限定されることで、むしろ考えをまとめやすくなるメリットがあります。具体的な卒論テーマの例を下記に挙げておきます。

【卒論テーマの例】

・『はてしない物語』における枠物語構造について
・『砂男』における自動人形の表象について
・パウル・ツェラーンの詩における「薔薇」について
・ヘッセ作品に見る「若者」像の変遷
・北欧神話とドイツ語圏の伝承に関する比較研究
・現代日本の演劇に見るブレヒトの演劇理論の影響
・ドイツ表現主義の映画と演劇について
・世紀転換期の「都市」表象の特徴について
・プロパガンダとしての戦時児童文学
・「バウハウス」と日本のインテリア・デザイン
・カリオストロ伯爵とペテン師イメージ
・ジェンダー論として見る『ハイジ』
・ユートピア文学の系譜
・19世紀ドイツ文学に描かれた「制服」の効果について
・シュタイナー教育の理念と世紀転換期の思潮について
・スマートフォンを利用したドイツ語学習スキーマ

『グリム童話』として馴染みの深い「メルヒェン」について考える場合の例もまとめました。

【卒論テーマの例(メルヒェン関連の場合)】

・映画『ラプンツェル』のプロットに関する研究
・東北地方におけるグリム童話の再話現象について
・『ヘンゼルとグレーテル』のオペラ化と伝承への影響
・『灰かぶり(シンデレラ)』のプロットの改変過程について
・『白雪姫』に込められた女性観の変遷
・グリムの『メルヒェン』と日本の『昔ばなし』における蛙のモチーフ
・日本のポップ・ミュージックに見られるグリム童話のモチーフ
・ディズニーランドにおけるグリム童話の再生産について

 上に挙げた例は、授業の内容や興味深いと考える卒論テーマ、教員自身の研究テーマなどに基づいていますが、こうした例にとらわれず自身が興味深いと考えるテーマを探し出して欲しいと考えています。
 
 

 ドイツ言語文化領域では、高等学校と中学校の教員免許(ドイツ語)を取得することができます。また同じプログラム内でフランス語(フランス言語文化領域)の教員免許を取得することができます。プログラム内の西洋史や英語関連の授業を履修して、地理歴史や英語の教員免許を取得することも可能です。ドイツ文学等で卒論を書きながら、英語や地理歴史の教員免許のみを取得することも可能です。

 ドイツ語の教員免許を取得することができる大学は減りつつあり、その価値は相対的に高まっています。ただ実際には、ドイツ語の教員免許のみで高等学校等や中学校の教員となることは難しい面があります。とはいえ、他の教員免許と同時に取得することで、より広い視野を持った教員になることができるでしょう。教育学部で他科目の教員免許を取得することを目指す学生がドイツ語の免許も取得するために授業に参加するといった例もありますが、そうした学生も歓迎します。

 

 教員の研究室には随時訪ねていただいて構いません。履修科目の相談や専攻決定、留学や就職活動の相談など、できるかぎり対応します。就職活動や留学関連の書籍、ドイツ語によるメディア素材、ドイツ語の多読テキストなどを用意していますので、興味のある方は訪ねてみましょう。事前にメール等で相談の予約をしていただけると助かります。

 ドイツ言語文化領域の学生は、欧米言語文化コース合同研究室を使用することができます。合同研究室には、辞書などが備えられていますので、予習や学生同士の雑談に活用してください。そうした「おしゃべり」もある種のコミュニケーション能力を育ててくれるはずです。

 また欧米言語文化コースの書庫には、ドイツ語圏の作家の原書が保管されていますので、卒業論文や修士論文執筆の際に活用できます。



 ドイツ言語文化では、ドイツ語の文献を精確に読む力をつけることを重視しています。それはドイツ語を使ってより専門的な研究を続けることを視野に入れているためです。

 ただそれと同時に、いわゆるコミュニケーション能力を伸ばすことも大切であると考えています。「コミュニケーション能力」という言葉は多義的な言葉なのですが、ここでは「異なる文化を背景に持つひとと外国語で意志を疎通させる能力」という意味で使用します。ドイツ言語文化の場合は、このコミュニケーション能力を養成するために、ドイツ語ネイティヴ・スピーカーを含む「ドイツ語コミュニケーション(基礎、発展、応用)」の授業を提供しています。親切で気さくな先生方の授業ですので、欧米言語文化コース以外の学生や、ドイツ語そのものやドイツ語圏への留学に興味のある学生も参加していただいきたいと考えています。

 ドイツ語技能検定試験(独検・1〜4級)に挑戦するのもよいでしょう。岩手大学では、1年次に履修する全学共通教育のドイツ語を履修すれば4級程度の能力が養われるように授業を構成しています。短期研修等でドイツへ行くのも楽しい体験となるでしょう。卒業までに独検2級やヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)B1の取得することを目標に勉強すれば、具体的な目標ができて勉強が楽しく感じられるでしょう。なかには3年次に独検準1級に合格する学生もいます。そうしたケースではDAAD(ドイツ学術交流会)の奨学生としてドイツでの語学研修に参加できる場合もあります。



 大学院へ進学する場合、岩手大学の人文社会科学部では修士課程を提供しています。ただし、ドイツ文学などの研究者を目指す場合、現在は博士論文を執筆する(博士課程を修了する)ことが必須となっています。そのためには、博士課程のある国内外の大学院にさらに進学する必要がありますので、各自のテーマに応じた進学先を教員と相談しながら検討することになります。










 大学生になると多くの大学では入学前に第二外国語を選択することになります(「未修外国語」や「初修外国語」とも言われます)。新しい言語を勉強するのは楽しみではあるのですが、たくさんの外国語からどの言語を選べばよいのか迷ってしまうでしょう。そこで、ここでは入学前の高校生や新入生のために第二外国語としてのドイツ語について紹介します。

 ドイツ語を学習するメリットとしては、学術言語として使用されてきたドイツ語の利便性やドイツ語圏の国々への留学の可能性が挙げられます。国としてのドイツがEUにおける政治や経済活動の中心のひとつとなっていることも、ドイツ語を学ぶ意味と言えます。ただ、そういった「役に立つ」という視点だけではなく、例えば「ドイツ語の音がなんだか気に入った」という感覚的な理由も大切にしていただきたいと思います。その意味では、フランス語やロシア語、韓国語や中国語が気に入ったひとは、そちらを勉強するのもよいことです。

 以下では、ドイツ語が話されている国々や研究のための言語としての特徴について紹介します。最後に教科書や初学者向けドイツ語学習ソフトについても触れます。 


 ドイツ語はオーストリアやスイスでも公用語として使用されています。こうした国々への留学を考えている場合には、ドイツ語を学んでおくとよいでしょう。またルクセンブルクやフランス、イタリアの一部、ハンガリーやチェコ、ロシアなどにも小規模ながらドイツ語母語話者が暮らす地域があります。

 そうしたドイツ語圏への留学については、短期留学と長期留学が考えられますが、海外研修と留学のページでは短期研修について説明しています。人文社会科学部では教員が引率するドイツ語課題解決短期研修を実施しています。その他にも、短期研修であればドイツ語を専門とする学生ではなく全学共通教育のドイツ語のみを履修した学生などでも比較的手軽に参加することができますので、参考にしてみてください。夏期語学研修コースなどには日本からは大学生協やインターネット上からも申し込むことができます。

 現在、世界中でグローバル化が進んでいます。グローバル化時代のコミュニケーション手段として英語の重要性は一方で疑う余地のないものです。ただ、例えば全世界で英語だけでコミュニケーションが取れるかというと、必ずしもそうではありません。多言語の世界で、ヨーロッパを中心にドイツ語が果たす役割も続いています。

 具体的にドイツ語が役立つ場面としては、ビジネスや留学などの現地滞在での活用が考えられます。グローバル企業では英語が必須な場合もありますが、生活する場面では現地の言語が必要不可欠になります。例えば、商店での日常の買い物、勤め先の友人関係、長期滞在であれば子どものお友達や保護者同士の集まりもあるかもしれません。ドイツ語圏への滞在のために、日常会話程度を身につけておくことは大切です。1年次のドイツ語では、ドイツ語圏の文化的な背景も踏まえて授業が行われますので、ある程度の滞在であれば対応できるようになるでしょう。



 ドイツ語はかつては大変重要な学術言語としての役割を担っていた時期がありました。一例を挙げれば、心理学を確立したフロイトはオーストリア、ユングはスイス出身のドイツ語圏の研究者でした。そうした背景から日本の大学でもドイツ語で授業が行われた時代があり、その名残が現在でも「アルバイト」や「カルテ」といった日本語として残されています。そうした背景を受けて、例えば森鴎外などもドイツへ留学していたのです。もちろん、ドイツ語圏の文学にも多様な作品があります。

 大学入学前には情報を得にくいのですが、ドイツ語が学術言語として重要とされた時代があったことから、学問の「歴史」に関わる分野ではドイツ語の読解力が求められる場面があります。例えば、一見ドイツ文学とは関わりのないように思える法学の分野では、修士課程や博士課程に進学するにつれてドイツ語の能力が求められるようになるようです。これは日本の憲法がドイツの憲法から影響を受けていたためです。心理学の分野でも、前述のフロイトなどに言及する場合、ドイツ語の原典にあたる方が説得力のある議論ができます。経済学を見ても、かつて社会主義を広めたマルクスやエンゲルスはドイツ語で書いていましたから、歴史的な背景を見たい場合はドイツ語が役立つはずです。個人的には貨幣論の議論をしている現代の研究者も興味深いと感じていますが、こうした分野に言及する際にもドイツ語が役立つでしょう。

 現在に目を向けても、環境先進国としてのドイツは環境やエネルギーに関わる分野で注目される存在です。「3.11」以降エネルギーや環境の問題が日本でも議論されていますが、ドイツでもエネルギー問題等について活発な議論が交わされています。こうしたアクチュアルな問題についての議論を追跡するためには、ドイツでの報道や逐次出版される文献、インターネット上の議論などにも直接アクセスする必要が生ずるでしょう。環境やエネルギー問題を考える学生にとっても、ドイツ語の基礎はおさえておきたい能力と言えるでしょう。



 個人的には、ドイツ語は学びやすい言語ではないか、という印象を持っています。例えば、ドイツ語では教科書のはじめにある発音の仕方を覚えてしまえば、ほとんどすべての単語を初見で発音することができます。これはドイツ語の発音と綴りが一致しているためです。また文法的にもよく整理されており、ひととおり学べば意思の疎通は難しくありません。大学2年生でも短期留学ができるのはこのためだと考えています。

 そうは言われても、「ドイツ語は難しい」と聞いているひとは多いかもしれません。そこで「もっと手軽にドイツ語の基礎を身につけられるようにしたい」という考えから、携帯電話やスマートフォンでも使える初学者向けのドイツ語学習ソフトウェア(FDKS)を作成しました。

 いつでもどこでも「暇」なときや「気が向いた」ときに遊びのつもりでドイツ語の基礎を勉強してみてください。ヒント表示機能なども付けましたので、通学途中につり革をつかみながら片手で操作することもできます。授業の合間の空き時間に暇つぶしに遊んでみてもよいでしょう。勉強を進めるうちに、ドイツ語の面白さやドイツ語で書かれた専門的なテキストの魅力にもぜひ触れていただければと考えています。

 なおこのソフトは携帯電話、スマートフォン、タブレット、コンピュータなどで同じように動作します。Androidアプリ版とiOSアプリ版、webソフト版を用意してあります。それぞれの環境に合わせて使用してみてください。

 ところで、第二外国語を選択する際には、一度その言語の音声を聞いてみることをお勧めしています。大学で学ぶ第二外国語とはこの先数年間付き合うことになりますし、ひとによっては一生関わることになるかもしれません。聞いていて心地よい言語を選択する、というのもひとつの選び方です(これは先生の先生からの受け売りです)。インターネット上でドイツのテレビ局(ZDF)などの音声を探してみるのもよいですし、上記のドイツ語学習ソフトの発音再生機能で発音を聞いてみるのもよいでしょう。











 ドイツ語学習アプリ(FDKS)は「ケータイやスマホで使えて、もっと楽しくドイツ語の勉強ができるコンテンツがあればいいのに」という発想から、ドイツ語を初めて学ぶ大学生や高専生、短大生などのために、制作者の川村(岩手大学)がICT連携型総合ドイツ語学習環境を整備する企画の一環として開発した初学者向けドイツ語学習ソフトウェアです。
 ヒント表示機能や発音確認機能が付いていますので、通学途中の電車やバス内、授業の合間などの空き時間に気軽に取り組んでいただければと思っています。アプリの他に簡易版web辞書もありますから、片手でも手軽に学習ができます。
 14課のLektionで基礎的な文法項目について学習することができます。携帯やスマホを持っていない場合は、大学等の共用コンピューターからアクセスすれば、無料で使用することができます。



 携帯電話、スマートフォン、タブレット、コンピュータのどの端末からでも使用できるマルチ・プラットフォーム型のドイツ語学習ソフトであることが、FDKSの特徴です。Android版、iOS版、ブラウザ版を用意しましたので、いつでもどこでも手持ちの端末で利用することができます。

 現在ではコンピューターを使用した外国語学習や検定試験が一般的になり、授業に参加する学生も「スマホ」に親しんだ世代です。それならばスマートフォンを活用した学習方法が、大学生のライフスタイにも合った方法であるはず、と考えました。教室を飛び出して学生の生活実態に寄り添ったコンテンツを提供することもこのプロジェクトの目標です。いつでもどこでも気が向いたときにこのソフトウェアを活用していただければと考えています。Android版とiOS版アプリは以下から入手できます(無料)。






 ICT総合ドイツ語学習環境を整備することも、プロジェクトの目標のひとつです。現在は、FDKSソフトウェアと教科書、web辞書という構成ですが、随時新しいコンテンツを開発したいと考えています。
 このためFDKSはICT教育に活用することを想定しています。CALL教室など、インターネットに接続することができる端末であれば、FDKSを使用することができます。上記のFDKS連携教科書用簡易版web辞書と合わせて使用すれば、CALL教室の特性を活用することができるでしょう。
 通常の教室でも、タブレット端末およびWifi通信機能付きプロジェクター等を活用することで、学生の回答を教室で共有しながら取り組む、といった運用も可能となります。
 スマートフォンやタブレット(Android端末)で機器をそろえれば、「設定」から「ディスプレイ」の「画面のキャスト」を選択することで、プロジェクター等へ画面を映写することも可能です。

 専門的なドイツ語のテキストを読むためには、独和辞典の使い方を習得することが欠かせません。とはいえ、初級のドイツ語の授業のためだけに紙の辞書を持ち歩くと荷物が多くなり、かと言って独和辞典の入った電子辞書も高価なものです。
 そうした事情を考慮して、アプリ連携教科書のためのFDKS簡易版web辞書を用意しました。通学途中に使用する際などに活用してください。ただ、あくまでも補助的な単語リストですので、別途辞書を用意しておくことをお勧めします。



 ドイツ語学習アプリを開発する過程で、授業に参加した学生へ行ったアンケート結果から、ソフトウェアと教科書の内容に関連がある場合に、アプリが「役に立った」という実感が増すという結論が得られました。
 そこでアプリと連携した内容の教科書『携帯&スマホでドイツ語』を作成しました。この教科書は、FDKSと連携して学習効果を高めるように作られています。また他にも下記のような特徴があります。



 初学者が外国語を学ぶ際には、母語との間の文法的な違いに戸惑うことが多いでしょう。この教科書では、名詞や動詞、形容詞など、品詞ごとに例文を色分けして表記しています。
 ドイツ語学習では、形容詞が同じ形で副詞として使用されるなど、品詞の区別が難しい場面があります。品詞の使い分けが理解できるようになると、ドイツ語の上達も早まります。色分けを手がかりに、基礎的な文法を身に着けてゆきます。
 コニュニケーション能力は、現在のトレンドと言えるでしょう。「コミュニケーション能力」は多義的な言葉ですが、授業内で学生同士が対話練習することは、友人との対話の経験ともなり、ドイツ語の言語コミュニケーション力も伸ばすはずです。そこでこの教科書には、一課おきにパートナー練習を設けています。
 またパートナー練習のない課にはコラムを掲載しました。著者の体験談やドイツの文化事情についての内容に興味が湧いたら、各教育機関でドイツ語に関わる授業にも参加していただきたいと考えています。



 初修外国語学習には、多くの授業時間が必要です。しかし近年初修外国語学習のための授業時間数は減少傾向にあります。そのためドイツ語に興味を抱いても、基礎的な文法の途中で授業が終わってしまう場合も考えられます。
 ただそうした状況でも、パートナー練習やコラムの機会も大切であると考えています。また会話文の読解も、ドイツ語検定などの試験を目標とするなら欠かせない内容です。
 基礎的な文法項目を含め、これらすべてを盛り込むために、この教科書では文法項目で勉強した文に基づいて会話文を構成しています。これによって、会話文の解釈のための時間を節約し、スムーズに授業を進めることができます。また、中級以上の学習への橋渡しのためには、巻末付録で関係代名詞や接続法を含む詳細な文法項目を解説しています。時間の許す限り目を通していただければと思います。

 大学などの授業で使用する教科書については、多くの場合シラバスで確認することができます。インターネットからも各授業のシラバスを検索することは可能ですので、入学前に授業選択の参考にしてみるとよいでしょう。岩手大学の場合は「アイアシスタント」というシステムから、授業のシラバスを確認することができます。