ドイツ文学研究室
岩手大学人文社会科学部にはドイツ語やドイツ文学を専門とする教員が3名在籍しています。このページはドイツ文学および外国語としてのドイツ語教育を専門としている川村のホームページです。
人文社会科学部のヨーロッパ語圏文化プログラムを主に教える教員としては、他にもフランス語、ロシア語の文学、文化、語学を教える教員がいます。
ここでは川村の研究内容や、1年次のドイツ語履修、ドイツ文学研究およびドイツでの海外研修などを紹介します。
教員の専門:ミヒャエル・エンデ研究
専門は、ドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデの作品に関する研究です。
ミヒャエル・エンデは20世紀を代表する児童文学作家のひとりで、ドイツ語で作品を発表しました。『モモ』や『はてしない物語』などのファンタジー作家として有名なエンデですが、実は経済や貨幣の問題へ熱心に取り組んだり、神秘主義思想にも造詣が深い人物でした。
研究の具体的な内容としては、ドイツ文学を代表する「詩人」ゲーテから、世紀転換期の思想家シュタイナーを経てミヒャエル・エンデに至るいわゆる「錬金術思想」について資料に基づいて跡づけることをテーマとしています。
また、ゲーテやエンデも着目していたメルヒェンとの関連から、ドイツのメルヒェンが日本で翻案されいつの間にか日本の昔話となった現象などにも関心を持っています。
教員の専門:外国語としてのドイツ語研究
文学研究と平行して、外国語としてのドイツ語教育、とりわけスマートフォン・アプリケーションを活用した初学者向けの学習コンテンツ作成にも取り組んでいます。
はじめてドイツ語を学ぶ学生のために共同で執筆した『携帯&スマホでドイツ語』では、スマートフォン用のプログラムと連携した教科書となっています。
その他にも、ドイツ語で多読に取り組みたいひとのためのコンテンツや頻出度順のドイツ語単語練習アプリケーションなども作成しています。
その他の詳しい研究内容についてはresearchmapなどを参照してください。
ドイツ文学の研究
ところで「ドイツ文学」を専攻すると何を研究するのでしょうか。ドイツ文学の研究対象は、ドイツ語で書かれた小説や詩、戯曲、それに思想や文化に関するテキストです。そこにはオーストリアやスイス、かつてのハンガリーやチェコなどの東欧諸国といったドイツ語圏で書かれた文学も含まれます。
例えばグリム童話を収集したグリム兄弟も、ゲッティンゲンやベルリンの大学で教鞭を執ったドイツ人でした。ゲーテやシラーといった古典的な作家だけではなく、日本でもよく知られる『デミアン』や『車輪の下』の作者ヘルマン・ヘッセ、『変身』などを描いたフランツ・カフカもドイツ語で書いた作家です。
児童文学では、『二人のロッテ』や『エーミールと探偵たち』などのエーリッヒ・ケストナー、『小さな魔女』などのプロイスラー、『モモ』や『はてしない物語』を描いたミヒャエル・エンデなどがいます。
演劇が盛んなドイツには『三文オペラ』などを書き、現代まで影響を及ぼした演劇理論を説いたベルトルト・ブレヒト、最近ではハントケ、イェリネックといった劇作家がいます。オーストリアにもシュニッツラーや、小説家ムージルもいます。
身体表現の世界では、ピナ・バウシュが新たな境地を切り開いたと言われています。建築やインテリアに芸術を取り入れた「バウハウス」もドイツで生まれた活動です。テキスト化された対象ならば、映画などのドイツ文化に関する内容も研究対象です。
「おすすめの14冊」なども参考に、ぜひ一度ドイツ文学に触れてみてください。